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シェフの病気のこと 1
ぎりぎりのところで入院をしましたが、
そのときすでに再発して、進行していたのです。
病名は
「悪性リンパ腫」
※その中でも日本人には少ないT細胞性の方の、またその中でも少ない病理でした。
・参考ページ: 「国立がんセンター がん情報サービス」
http://ganjoho.ncc.go.jp/pub/med_info/cancer/blood03010.html
↑この国立がんセンターのサイトでもシェフの正式な病名はみつかりませんでした。
一般的にはあまり聞いたことがない馴染みのない病気だと思います。
簡単に言うと、血液のがんです。
血液のがんというと、白血病という病名は知られていると思います。
白血病はだいぶ治療法もみつかり、
現在では治る率も高くなっていますよね。
悪性リンパ腫という病気の場合は、まだまだ研究途上らしく、
解明されていないことが多いのが現状のようです。
症例が少ないので治療法も確立されていないようですし、
原因も不詳のようです。
今のところではひとくちに悪性リンパ腫といっても
30種類くらいのさまざまなタイプがあるそうです。
そのタイプによって治療法も違ってくるそうです。
日本では年間に発生する悪性リンパ腫は約10,000人だそうです。
悪性リンパ腫には2種類あるそうです。
その中で日本人の大半を占めるタイプがあり、
そういう意味では治療法も進み、治る率も高まっているそうです。
が、うちのシェフの場合は、
悪性リンパ腫の中でも、日本人には珍しい、非常に症例の少ないタイプでした。
悪性リンパ腫の中でも5%程度しか発症しないタイプでした。
どうしてそういう病気になったのか、原因はわからないそうです。
血液の病気です。
ウイルスとかではないそうです。
生活習慣病ではありません。
だからこそ、どうして急に病気が発症したのか、
どうして生命に影響が出てしまったのか、
悔しくてなりません。
性格もさっぱりして、明るく、
趣味も豊かで、大好きな仕事をして伸び伸びとしていたのに。。。
本当に入院する直前まで明るく元気にして
厨房にたっていたので、
お客様も近所の方も皆さんびっくりされたことでしょう。
エネルギーがみなぎっていました。
冗談も相変わらず言ってたし、
よく笑って、艶もあり生きるというパワーが出ていました、よね。
もちろん、相当辛かったようですが、決してそういう姿を見せず
周囲に気を遣わせないように、頑張っていたんですね、私にでさえ、、、。
とても病気しているように見えませんでした。
本当は、この病気の再発だったので、その頃
高熱がずっと続いていました。
それは入院する4ヶ月ほど前から。
もちろん、病院には定期的に診察と検査に行っていたのですが、
さきほども書きましたとおり
悪性リンパ腫の中でも非常に症例が少ないタイプのためか、
専門医でも判断が難しい状態だったそうです。
それに、お店は続けなければならない、必死の状態でもありましたから
高熱でも、頑張り続けていました。
本当は病気の体にはとても辛かったのだと思いますが、
凄まじい気力で日々の仕事をこなしておりました。
今思うと、とても真似できない精神力だったと思います。
3月末には従業員も退職したので、
4月以降は一人で調理場にたっていましたから、
朝早くから夜遅くまで、掃除から鍋洗いから
何でもこなしていました。
もともと体力もあり仕事ができる器用な職人なのですが、
さすがに病気の身にはどれだけ堪えたかと思うと
本当に凄まじい姿でした。
でも、シェフはどうしても全うしたかったのだと思います、
お店を維持することを。
それが責務だから、と必死に病気の体と闘っていました。
6月の終わり頃、
予定の診察で、その時の検査数値で
即入院を勧告されました。
このままでは生命にかかわる。
2週間ほどの検査のあと、また通院治療しながら
仕事をする意気込みで、
その日そのまま入院することを決意しました。
症例の少ないタイプの悪性のがん細胞は
その後勢いをつけていったようです。
入院してからの検査結果が出るまで時間がかかり
治療が遅れたこともありますし、
薬を多用に使うことになりましたし、
その後の闘病については
過酷なことでいっぱいでしたから、
まだここで書くことは辛いですが、
ひとこと言えるのは
シェフはギリギリ最期まで
前向きに自力でも病気を治そうという強い精神力をもって
闘っていました。
きっと治して、お客様の前に立つんだ、
という強い想いがありました。
だから最期まで弱音をはかず、気力をしっかりもっておりました。
お客様の支えが
何よりの彼の気力を奮い立たせる原動力でした。
ありがとうございました。
たくさんのお客様に出会えたこと、
お客様に励まされたこと、
シェフは幸せな想いでこの世を最期にできたと思います。
シェフに代わって御礼申し上げます。
February 20, 2007 | Com (0) | Tb (0) | マダムの日々想い トップページへ↑
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